喋るホウキ

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第一話 「旅路」

荒野。

太陽は輝き、草木は枯れ、大地に恵みは無く。
砂漠とどちらが辛いだろうか。砂漠に比べたらマシかもしれない。
だが、比べたところで何が始まるわけでもない。
比べることで水が飲めるのならば、いくらでも比べてやろう。
この土地に居る限り、喉の渇きは潤うことを知らないのだ。

彼は、欲望に素直な男であった。空腹であればそれを満たし、
睡魔が襲えばそれに身を任せた。
だが、くどいようだがここに水は無い。
彼はまいっていたが、愚痴をこぼす相手もいないので、
ただひたすらに前進した。
こんなところに長居していたら死んでしまう。

・・・どれくらい歩いただろうか。
時計を見ると、彼は出発してから1時間が経過していることを知った。
やれやれ、一体いつになったら水が飲めるのだろう。
彼は時計を仕舞い、顔を上げ、我が目を疑った。

「ダークマター・・・!!」

彼が思わずこぼした言葉は、彼の目に映るものの名称である。
彼がダークマターと呼んだものは、彼の倍の大きさはあり、
真っ黒な球体に目玉をひとつつけたような形だった。

「復讐ならお断りだよ?」

一方こちらは、桃色の球体、というのが一番合っているだろうか。
ダークマターから視線を逸らさずに、地面に風呂敷包みを置く。
風呂敷包みには、名前が書いてあった。

KIRBY

ダークマターは、何も言わず、カービィに向かっていった。
カービィはとっさに風呂敷包みに手を伸ばし、
その中から何も装飾が施されていない、古びた剣を取り出す。
カービィはその剣を握り締め、ダークマターの方へと一直線に走る。
剣は光を集め、虹色に変わり空気を切り裂きながら標的へ向かう。
ダークマターの目は見開かれ、耳では聞こえない叫びがカービィへ届いた。
剣はダークマターを真っ二つにしていく。
静かに、重く、ゆっくりと、しかし鮮やかに。
ダークマターから黒い液体が飛び散り、カービィはそれを全身に浴びた。

・・・しばらくして、ダークマターは跡形も無く消滅した。
それと同時に剣も虹色の光が消え、元の古びた剣に戻る。
カービィはしばらく何かを考えた後、
ペロリと自分についた返り血を少し舐め、また歩き出した。

続く

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