第8集

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〜ルレルの不思議な大冒険・第八話・前編〜

シストが早々に勝利を決めたのと同じ頃、セレスは相手の力量を測っていた。
セレス(魔力はこっち、技量は向こうの方が上か……)
セレスはそう判断した。
実際には技量もセレスの方が上なのだが、いかんせん彼女は自分を過小評価するきらいがある。
原因はそれだけではない。
セレスは実戦経験は豊富だが、このような『力試し』は経験したことがないのだ。
それ故に緊張が悪い方向へ向かってしまい、彼女本来の実力を出し切れなくしていた。
フィアーゼ「考え事をしている暇があるの?
      じゃあ仕掛けさせてもらうわ!」
そういうとフィアーゼは詠唱を始めた。
フィアーゼ「三重の力を束ねる神ヒィス・カッサンドラよ。汝が力によりて、素早き詠いの力を我に与えよ!
      速詠、クイックスペル!」
セレス(しまった!詠唱短縮を使われた!)
フィアーゼが使ったのは詠唱短縮。短い言葉で術を使用できるようにするものだ。
最も効果時間は短く、消費する魔力も大きくなってしまうのでリスクは高いといえる。
しかしうまく使えば、詠唱の長い術を素早く行使することが出来るようになる。
それがフィアーゼの狙いだった。
セレス(なら、あれしかない……!)
セレスも詠唱を始めた。
セレス「魔を司る神アームレイドよ。汝の力の助けを得、今我魔の力を剣に宿さん……!
    魔力包剣、ブレードレイド!」
セレスは自分の背中に挿してある剣を引き抜いた。
その後『言の葉』が意味を帯び、力を発する。
するとセレスの剣に薄いヴェールのようなものが張られた。
フィアーゼ「剣で攻めてくるつもり?
      でももう遅いわ!」
そう叫びながらフィアーゼは自らの魔力を収束させていった。
そしてそれが目に見える程までになると、今度はそれに方向性を持たせていく。
フィアーゼ「龍神よ!我が魔力を導きて、聖なる裁きをここにもたらせ!
      裁魔砲、ケイオスロード!」
するとフィアーゼの魔力が色を黒く変質させていった。
セレス(間に合ううちに……)
それを視認すると同時に小声で詠唱を始めるセレス。
セレス(神々を統べるものルキオス・セツァルスよ。汝によって施されし封を今、解きたまえ……)
恐ろしいまでの早口で詠み終えると、すぐさま次の詠唱に入る。
フィアーゼの魔力はすでに方向を定め、今にも放たれようとしていた。
セレス「我が龍たる力よ!その片鱗を今表し示せ!」
セレスが詠唱を終えるや否や、その隙を狙いフィアーゼは術を発動させる。
フィアーゼ「裁魔砲、発射!」
するとどす黒いまでに変質した魔力が、『言の葉』によってセレスへと一瞬で放たれる。
まさにそれが当たろうという時、

セレスの体が、まばゆい光に包まれた。

その光は見る見るうちに、フィアーゼの魔力を飲み込んでいく。
そして最後まで飲みつくされた時、見えたのは……

黒い龍のような翼の生えた状態で宙に浮くセレスの姿だった。
フィアーゼ「ケイオスロードが飲み込まれた!?
      いや、そんなことよりあの姿は……!?」
まるで信じられないものを見た、というような表情でセレスを見上げるフィアーゼ。
しかし、フィアーゼにはそんなことをしている暇などなかった。
セレス「龍の『言の葉』、『発』!」
そう『宣言』されるとほぼ同時にセレスの剣から、つい今しがた吸い込まれた魔力が増加された状態で発せられた。
そしてそれはフィアーゼを一瞬にして飲み込んだのだった……


セレスが手に入れた新しい力。
それは『セツァルス』の家系にのみ見られる特殊な魔力を、具現化して行使するというものだ。
普段はルキオスによって『封』をされているが、その『封』を解いてもらうことにより行使できるようになる。
セレスの発現方式は術を『言の葉』のみで使えるようになるというもので、今回のように何かを媒体にすることにより使いやすくしている。

セレスの放った魔力が完全に消え去った時、ようやくフィアーゼがその姿を見せた。
ぎりぎりで守ったようだが、相当魔力を消耗したようで今にも倒れそうな様子だった。
あまりに辛そうだったのでセレスは魔力を分け与えることにした。

セレスの作業が終了すると、すぐさまフィアーゼはセレスに賞賛を浴びせた。
フィアーゼ「とてもすごい力を持ってるのね……侮っていたわ。
      それにそれをあそこまで操れるなんて…………天才じゃないかしら!?」
どうやら興奮気味のようで、目を輝かせながらセレスに顔を近づけてきた。
それに対し若干困惑の色を浮かべながらセレスが答えた。
セレス「い、いえ。私だけがすごいわけではないですよ。
    セツァルスの家系の人間は、皆こういう力を持ってますから」
フィアーゼ「謙遜することないわ!あれほどの力は本家の人間でもそうそう持ってないもの。
      あなたには才能があるのよ、きっと」
それを聞いたセレスは少し恥ずかしそうに顔をうつむかせた。
褒められた経験が少ないのだ。
そんなセレスをにこやかに見つめるフィアーゼ。
その後、はっとしたような表情になり、こう告げた。
フィアーゼ「そろそろ向こうに行きましょうか。早いに越したことはないわ」
セレス「そうですね、結果も気になりますし」
そのときの表情を見たフィアーゼは、意地悪そうに表情を歪めこう言った。
フィアーゼ「やっぱり気になるわよね、恋人の結果は」
まさに爆弾投下。
一瞬にして頬を真っ赤に染めるセレス。
セレス「そそそそん何じゃないですよ、そんなわけあるわけないじゃないですか。
    大体本当にもしそうなら……」
フィアーゼ「もしそうなら……?」
意地悪そうに先を促すフィアーゼ。その表情はまさに小悪魔そのもの。
セレス「なに言わせようとしてるんですか!
    もう、フィアーゼさんのいぢわる!」
フィアーゼの目には真っ赤に染まりながら怒るセレスの姿が、それはそれは可愛く見えたらしく、三十秒ほどからかっていた。
〜後編に続く〜
ようやっと終わった……
L「だいぶ疲れているようだな」
まあね。
L「詠唱とかが多かったからな」
まあね。
L「返事も適当だな」
まあね。あ、時間だ。次回予告の。
〜次回予告〜
セレスサイドの結果はセレスの勝利に終わった。
これで試験は終わり。
果たしてその結果は!?
次回、乞うご期待!

〜ルレルの不思議な大冒険・第八話・後編〜

ディバイス邸。
異世界から帰ってきた一行はその疲れを癒すため、ひとまず休憩をした。

そしていよいよ……

シストとセレスは緊張した面持ちで結果を待っていた。

ディバイス「じゃあ、言うぞ。
      あんまり間を持たせるつもりはないから単刀直入にする。
      結果は、」
その言葉を聞いて二人はつばをゴクリ、と飲み込んだ。
ディバイス「ま、大丈夫だろう。
      最初に言った時はお前達の実力を相当小さく見てたからな」
その言葉を聞いて安堵の色を浮かべる二人。
そしてその後シストがディバイスにこう言った。
シスト「あの、大総統は今どう動こうとしているんですか?
    それを聞いてからのほうが行動しやすいですし……」
もっともな質問だった。
このラスクールに来てから、シスト達がずっと気にかけていたことだ。
その質問を聞いたディバイスは少し言いづらそうだった。
ディバイス「いや、それがな……
      師匠たちは今行方不明なんだ」

ディバイスの話によると、何でも一年ほど前からルキオスは行方をくらましているということだった。
実はその一年ほど前からラ・スゴールの動きが活発化して、それを止めるためにルキオス達は動いているのだが、ラルフィール軍内でも一部の人間にしか知らされていない。
その話をディバイスに伝えなかったのだ。
ちなみにルキオス『達』というのは、
ルキオス・セツァルス、
ルキア・セツァルス、
リーファ・ローズ=ヒィス・カッサンドラ、
の事を指している。

シスト「そうだったんですか……
    それじゃあ少し前に会ったのは一体なんだったんだろうか……?」
その言葉をディバイスは聞き逃さなかった。
ディバイス「何だって!?師匠に会ったのか!?
      そのとき、なんて言ってた?」
あまりの形相に少し引いてしまうシスト。
ディバイス「あ、すまない。本当に一年も会ってないからな」
少し暗い表情でディバイスは言った。
……それも仕方のないことなのかもしれない。
師匠が自分に何も言わずに行ってしまったのだ。しかも自分以外の人間、シストには会っていたということがさらにディバイスを苦しめていた。
シスト「いえ、大丈夫です。
    話の内容ですけど、ラ・スゴールについての調査と、新人をよろしく頼む、ということでした。
    調査を託された理由は対象地が同じ世界にあったからでしょう」
ディバイスのことをいたわり、表現を慎重に選ぶシスト。
ディバイス「そうか……それなら別に気に悩む必要もあまりないな。
      考えてみりゃ、音信不通神出鬼没はあの人の代名詞みたいなもんだよな」
どうやら安心したようだ。
ふとフィアーゼがあることを思い出した。
フィアーゼ「ねぇディバイス、そろそろ……」
ディバイス「あ、そうか!こんな悠長に喋ってる場合じゃなかった!
      今すぐエスリードの洞窟に案内する!時間がない!」
急いでシストとセレスを連れ出すディバイス。
ディバイス「フィアーゼ、お前はここで待ってろ。
      見届けたらすぐ戻ってくる!」
フィアーゼ「わかったわ。それじゃ二人とも気をつけてね」
フィアーゼがそう言って手を振ると、シストとセレスは大きくうなずいた。
ディバイス「それじゃ行くぞ!」
空に向かって魔法陣を描き出すディバイス。そして……
ディバイス「転移、発動!」
そして三人はエスリード大陸へと向かった。


―エスリード大陸・封印の洞窟―
ディバイス「着いたぞ、ここだ」
そう言われてシストは目を開けると、その前には禍々しい空気を漂わせている洞窟の入り口が見えた。
ディバイス「封印されてる場所にはすぐに着く。心構えはしておけ。
      ま、お前らなら一瞬で終わるから大丈夫だ。楽にいけや」
ディバイスからの激励の言葉に大きくうなずく二人。
そして手を繋いで、心を繋いで中へと踏み出していった。
ディバイス「あらら、仲のよろしいことで。
      さて、俺も帰ってやるとするか」
二人のそんな姿を見届けてからディバイスは自分の帰るべき場所へと帰っていった。

シスト「本当にすぐだな……」
二人は洞窟に入ってからすぐに目的の場所へ辿り着いた。
セレス「封印って、これ?」
そう言いながら目の前の空間に手を伸ばすセレス。
そうすると途中で行く手を阻まれた。
シスト「次元の狭間のときと似たようなやつだな……
    じゃあ、久しぶりにあれ、いくか?」
その言葉にうなずきを返すセレス。
そして剣を抜き、構える。
シスト・セレス『我等に仇なす者等よ。
        今こそ等しく滅びを与えん。
        我等が力の源よ。
        偉大な汝の力を以って、
        我等が剣に力与えよ。
        滅びを!
        与えよ!』
斜め上方に二人は剣を大きく振り上げた。
シスト・セレス『テラ!スラァァァァァッシュ!!』
そして同時に振り下ろす。

そのとき二人の手は、繋がれたままだった。

二人の剣撃を受け、大きな音を立てて崩れ去る封印の壁。
その先には大きな空間が開いていた。
シスト「それじゃルレル達のところへ、行くとするか!」
セレス「うん!」
そして大きく踏み出す二人。
その手はまだ、繋がれたままだった……
〜第八話・完〜
よしこれでこっちは一区切り!
L「良かったな。これで妖魔退治屋のほうに手が行くな」
ああ、これでようやくだな。
L「それにしても今回は何と言うか……急な?感じ?だったような……」
いや、むしろ遅すぎ。
L「そうかも……知れない」
そ、そうなの。
んじゃそろそろ次回予告。
〜次回予告〜
ついに試練を乗り越えたシストとセレス。
そして絆も大きく深まった二人。
その時ルレル達は一体どうしていたのか?
そしてルキオス達は?
次回、乞うご期待!

〜ルレルの不思議な大冒険・第九話・前編〜

―ルレルサイド・セイルーンにて―

シスト達がラスクールに着いて情報収集を行っているころ、ルレル達は事件にあった。

ルレルが謎の老婆と共に光に包まれたのだ。

その場から何とか逃れたディンとベルは一時的にセイルーンに戻ってきていた。

ディン「ベルさん、そろそろ洞窟に戻りましょう!……もうこれ以上待っている事なんて、俺には出来ない!」

ディンは相当あせっているようだ。無理もない。

時間がそう経過しているわけではないとはいえ、幼馴染が脅威にさらされているのだ。

そしてディンという青年は、そんな状況を見過ごせるよな人間ではなかった。

ベル「そうね、そろそろ行った方がいいかもしれないわ。
   でもディン君。その前に落ち着いて。冷静な対処が出来なかったら、またルレルちゃんを危険にさらしてしまうかもしれないから」

一方ベルは落ち着いていた。緊急時の対応には慣れているようだ。

しかしその表情にも少なからず焦りの色が見えた。

ディン「そう、ですね……」

ベルの言葉を素直に聞き入れ、深呼吸を始めるディン。

ベル「どう?落ち着いた?」

ディン「ええ。忠告、ありがとうございました」

問いかけるベルに対して感謝の言葉を述べるディン。

そのときのディン引き締まった表情を見て、ベルも自らの中で覚悟を決めた。

ベル「じゃあ、行きましょうか。洞窟へ」


数十分後、ディンとベルは目的の洞窟に辿り着いた。そしてそのまま奥へと進んでいく。

あと少しで最深部、というところで二人は足を止めた。前回来た時にはなかった半透明の壁が立ち塞がっていたからだ。

ディン「壁……ですね」

半透明ゆえに見えづらいのか、少し目を細めながら前を見つめるディン。

ベル「そうでしょうね。魔力が発せられているから。……どうする?無理にでも破って先に進む?」

ディン「いや、罠かもしれない…… 無理に突き破って進むのは得策ではないでしょう。
    問題はどうするか、ですね……」

状況が状況だけに慎重にならざるをえない。その後二人は頭の中でしばし案を探った。

ふとそんな時、突然声が聞こえた。

???「聞こえるか?そこの男と女」

ディン「その声…… ルレルか!?」

聞こえてきたのはルレルの声だった。

ベル「待ちなさいディン君。口調がおかしいわ」

異変に先に気づいたのはベルの方だった。

???「口調が違うのはとうぜんじゃ。なにせわらわはルレルなどではない。そやつの体を借りているだけじゃからの」

ディン「なんだって!?じゃあお前は何者なんだ!?」

驚きを顔全体に浮かべながら問うディン。それに対して『それ』は、

???「わらわはミレース・ルヴァ。姫と呼ぶがよい」

と名乗った。

その名を聞いたベルは驚愕の色をその顔に宿した。

ベル「ルヴァ!?あなた、ルヴァの姫だっていうの!?」

ベルのそんな言葉にルレルに宿っている主、ミレースも驚いたようだ。

ミレース「ルヴァのことを知っているのか?」

ベルに問い返すミレース。

ベル「ええ、知ってるわ。特殊な能力を持ち、そしてその一族の姫が伝説の秘宝を代々授かっていることもね」

平静さを取り戻し、落ち着いた声色で返答するベル。

ミレース「なら話は早い。わらわに力を貸してくれ。その秘宝が危機なのじゃ」

そういいながらミレースは壁の向こう側から姿を現した。

その姿は、やはりルレルのものとまったく変わりはなかった……


―ルキオスサイド―

一方、失踪中のルキオス達はラルフィールの大総統府に戻ってきていた。

ただし、内密に。

ルキオス「シスト達はディバイスが何とかしてくれるからいいとして、やはり問題はラスゴールだな……」

大総統室の椅子に座りながら深刻そうにつぶやくルキオス。こんな表情をしている彼は珍しかった。

そこにノックの音が聞こえた。

ルキオス「メリルだな。入って構わんぞ」

ルキオスがそう言うと、一人の女性が入ってきた。

とても端正な顔立ちをしている。その中にはルキオスの面影を垣間見ることが出来た。

メリル「おじい様。準備は整いましたよ」

メリル・セツァルス。ルキオスの実の孫で、セツァルス本家の人間だ。ラルフィールでは副総統を務めていた。

ルキオス「そうか…… だがまあ、今すぐに出ろという訳ではないからな。
     ……まあいい。準備が出来たのなら向こうに出立するまでの間、ラスゴールの調査に向かってくれ」

メリルを安心させようという気遣いなのか、先ほどの深刻そうな表情は微塵も残っていなかった。

代わりにとても穏やかな表情を浮かべていた。

メリル「わかりました。なるべく早く向かいます」

それに対しメリルは凛とした表情で返事をした。それからきびすを返し退室しようとする。

それをルキオスの声がとどめた。

ルキオス「あ、待て、メリル。すまないがユミルと話がしたい。出してくれるか?」

メリル「構いませんよ」

ルキオスの願いに対し、すぐにそれを受け入れるメリル。

すると突然腰に下げていた剣を抜き放った。

???『何か用か、神々の主』

突然声が聞こえる。どうやらメリルの抜いた剣が喋っているようだ。

ルキオス「いやな、ユミル。お前なら今後のことがわかるかと思って、な」

その剣の名はユミルといった。ユミルは未来を予言することが出来た。ただし一定の条件下において、だが。

ユミル『お前も知っているだろう。我が見えるのはあの龍神と同等までだということを』

それを聞くとルキオスは表情をわずかに曇らせた。

ルキオス「やっぱりダメか…… ま、予言なんかに頼っちゃいられないよな。
     ……それじゃメリル。悪いが早速向かってくれ」

メリル「わかりました。ではお元気で……」

そういうと今度こそ扉の向こうへと消えた。


……メリルがいなくなってからしばらく経ってからのこと。

再びルキオスのいる大総統室のドアが叩かれた。

ルキオス「どーぞー」

ひどく投げやりな口調で入室を許可する。

入ってきたのは彼の妻、ルキアだった。

ルキア「……だいぶ悩んでるみたいね。やっぱり大変?」

ルキオスに問うルキア。

ルキオス「まあまあ、かな。……を懐柔できればそれにこしたことはないんだけどなぁ」

後半部分はつぶやく程度の声だった。

ルキア「まあ、難しいところよね…… 同じ『神々の子』であったとしても、役割はまるで対極だものね」

ルキオス「まあな。それをどうにかするのが俺の役目なんだが…… ま、なるようになるっしょ」

砕けた表情でそう言うルキオス。その中には微かに自信を見て取ることが出来た……

〜後編に続く〜
やべぇなぁ、ひざ。
L「歩くのもきついんだろう?」
少しだけどね。
L「そういえばこの話はいつまで続くんだ?」
第三部で完結予定。今からちょっとずつ伏線張ってます。多分。おそらく。
L「それまでに俺は出れるだろうか……」
無理だね。短編出れたからいいじゃん別に。
L「あれに出たって嬉しくなんかねぇぇぇぇ!!」
そうかそんなに嬉しいか。じゃまた次もあんな感じで……
L「良くねぇぇぇぇ!!!」
うるさい。テラクロスブレイクゥゥゥゥゥ!!
L「ぎゃっ!?」
……リンガーはスタッフがおいしくいただきました。ドラゴンはうまいなぁ。
そういえばポストさん、外伝出演の件、早く返事ください。じゃないと投稿出来ません。
じつはもう外伝後編はとっくに書きあがってるんだな、これが。
よろしくお願いします。
んじゃ次回予告。
〜次回予告〜
ルレルの体を奪った謎の老婆、ミレース。
自らを姫と名乗り、またベルもそう呼ぶ彼女は一体?
またルヴァの一族の守る秘宝とは?
そしてルキアが語った『神々の子』とは?
様々な謎を残しながら、次回、乞うご期待!

〜ルレルの不思議な大冒険・第九話・後編〜

―ルレルサイド・洞窟にて―

ディン「何故俺達が力を貸さねばならない?
    それにわざわざルレルの体を奪う必要などなかったはずだ!」

ディンがミレースに向かって大声で問いかける。

それを聞くとミレースは突如悲しそうな表情に変わった。

ミレース「そのことは……すまぬ、としか言えぬな…… わらわもこのような手段を使いたくはなかった。
     しかし体があのままではじきに死んでしまうところだったのじゃ……
     これしか方法がなかった、では……理由にならんか……」

本当に苦しそうな表情だった。決して彼女が悪いわけではないのだが。

ディンとベルはそれを見て、少し申し訳なさそうな顔をした。しかしそんな表情のままミレースは続ける。

ミレース「おぬし達に、ルレルも含めてじゃが、力を貸して欲しい理由は他でもなくその秘宝の宝珠が危ないのじゃ。
     一族の言い伝えが正しければ『邪神』に力を与えることになるとか……」

それを聞いてディンの表情が一変した。まるで恐怖に染められたかのような顔に。

ディン「……それは、本当なのか?『邪神』だって?でも大総統は……いやそんな、馬鹿な……」

そのディンの様子を見てベルとミレースが宥める。

ベル「大丈夫よ、ディン君。邪神に力を与えるというのはあくまで言い伝えに過ぎないわ」

ミレース「そうじゃ。幸いにもまだその宝珠は無事じゃ。対策も立てられる」

それを聞いて我に返ったのかほっと肩をなでおろすディン。

ディン「そうですね……まだ動きようもありますし……
    ミレースさん、先ほどはすみませんでした。お恥ずかしい限りですが気が動転してしまって……」

ミレース「なに、無理もないことじゃからな。気にしてはおらん。
     ただ、この体を返すのは全てことが終わって、わらわが体を取り戻してからになるぞ?」

ディンはそれを聞いても動じなかった。

ディン「はい。それぐらいは承知しています。では、これからよろしくお願いします」

ベル「私もよろしくお願いします。ミレース姫」

ベルもまたディンと同じように決意を固めたようだ。

それを受けて、ミレースは笑顔で返した。

ミレース「うむ。よろしく頼むぞ、ディン、ベル、そしてルレル」

その笑顔はルレルとは違い、上品なものだった。

その後ミレースが口を開いた。

ミレース「さて、まずは状況を説明しなければならんな。
     この近くの町は……セイルーンか。そこに行くとしようぞ」

ベル「なら、私の家でお話をお聞きしましょう」

そして一行は洞窟からセイルーンに向かったのだった。


そしてその道中こと……

ミレース(聞こえるか?ルレル)

ミレースは頭の中のルレルを呼んでいた。

実はミレースが乗っ取ったのは体だけで、ルレルの意識は消えていなかった。感覚も共有している。

それから二人は念じることによって会話することが出来るのだ。同じ体にいるのだから当然だが。

ルレル(はい。話は聞かせてもらいました。私も同行させてもらいます)

ミレース(いやまあ、体を奪われているのだから同行は当然じゃろ……
     そんなことより、戦闘のときは基本的におぬしに任せるぞ。助言ぐらいはしてやれるがの)

ルレル(はい。任せてください。これからよろしくお願いします)

ミレース(うむ。よろしく頼む)

頭の中での会話という奇妙な形だったが、ルレルも覚悟を決めていた。

ミレース(あ、そうじゃ。今後のために言っとくが、おぬしの意識が消えず感覚を共有していることは他の者には秘密じゃ。
     わかったか?)

ミレースは何か考えがあるようだった。

ルレル(わかりました。理由は……聞かないでおきます)

若干気になりはするものの、言わなかったということはそれにもわけがあること。

それを察し、ルレルは聞かないでおくことにした。

ミレース(ま、いつか話すじゃろ)

そう言って脳内会話を終了するミレース。そしてそのまま道を進んでいくのであった。


セイルーンのベルの家に着いた一行。早速話を始めるミレース。

ミレース「それでは話を始めるぞ。つい最近に起こったことなのじゃが……」


ミレースはいつものように取り決められていた社でのお祈りを終え、自分の家へ戻ろうと外へ出た時、それは起こった。

突如、一族の集落に大勢の魔物が出現したのだ。村一つは滅ぼせるであろう量の。

その種族は様々で大きいものから小さいもの、強いものから弱いものまで様々だった。ただ、己の肉体で戦う魔物が多いようだった。

しかし何より異様だったのは、その魔物たちの中心で魔物を従えている者だった。

雪のような白銀の色をした髪。強靭でありながらもしなやかな肉体。そして異様に端正な顔立ちの美少年だったのだ。

しかもそれだけではなく、禍々しくも強大な魔力を持っていた。

その後その男が宙に浮かぶとミレースに顔を向けた。そしてこう言ったのだ。

???「おい、そこのガキ。てめぇがルヴァの姫のミレース・ルヴァだな?
    てめぇに聞きてぇことがあるんだけどよぉ。……ルヴァの秘宝はどこだ?」

それを聞いたミレースはその美しい顔に怒りを表した。

ミレース「そんなことを教えるわけにはまいりません!
     あれの封印が解けたらどうなるか、知らぬわけではないでしょう!?」

それを聞いてもなお不遜な態度を変えようとしない少年。

???「んじゃあ、ここの集落のやつらがどうなってもいいんだな?
    なに、殺しはしねぇよ。ただ、綺麗な彫刻になってもらうだからな」

今度は驚愕にその顔を染めるミレース。

ミレース「この村の者達を石化させようというのですか!?」

???「ああ。んでその後てめぇを捕まえてやろうって寸法さ。どうだ?愉快だろ?ひゃっはっはっはっはっはっは!」

ミレース「そんなことが出来るとでも……」

言いかけてミレースは気づく。この集落の結界が破られていることに。

???「出来るさ!ここの集落の結界を破って魔物を召喚したのは俺だからな!しかもこの量を動かないでそのままにしてるんだぜ!?
    全員石化なんて楽勝だっつーの!」

ミレース「……どうせ吐こうが吐くまいが変わらないのでしょう?なら早く私を捕まえればよいでしょう」

ミレースは覚悟を決めた。

それを聞くと男は詠唱を始めた。

???「我が名ガルド・ゴーグの名において命ず!石化しちまえおめぇら!ひゃっはっはっはっはっは!」

そして集落にいた人間は全て石化してしまった。

ガルド「んじゃあ、行こうとしようぜ、姫様よお!」

そしてガルドは魔物を送還し、ミレースを連れてその場を去った。

その後ミレースはガルドに秘宝の宝珠の在り処を何度も聞かれたが、話そうとはしなかった。

それに腹を立てたのか、ガルドはミレースの精神を老婆の体に移し、セイルーンの近くの洞窟に置き去りにしていった。

だが精神生命体(ようは霊のようなもの)は魔力の根幹であり、能力までは失われていなかった。

それでミレースは自らの力で洞窟に魔物を呼び出し簡単な事件を起こすことにより、それを突破した者、つまりルレルたちの力を借りることにした。


ミレース「とまあ、こういうわけじゃ」

話し終えたミレースは疲れた様子だった。

ディン「そんなことが…… とにかく相手はそのガルド・ゴーグという男なんですね?」

真剣な顔つきで問うディン。

ミレース「ああ、そうじゃ。あやつは非常に強力な魔力と体術を有しておる。気をつけなければなるまい」

ミレースは深刻そうな顔でそう言った。

ベル「なら、早い方がいいでしょうね」

それに対しうなずきを返す二人。

ミレース「まずはわらわの集落に行くとしよう。案内は任せるが良い」

そして一行はミレースの集落へと向かうのであった……

〜第九話・完〜

うひょ〜終わった終わった。
L「これで第一部の話数を抜いたな」
確かにそうだなぁ。
L「それにしてもようやくルレルたちに動きが出てきたな」
うん。おまえのマスターもがんばってるけどな。
L「いつ合流するんだ?」
んなもん秘密に決まってんだろ。
んじゃそろそろ次回予告。
あ、そういやこれ次回を考えて書いてるわけじゃないんだよね……

〜次回予告〜
ついに動き出したルレル一行。
そして明らかになった敵、ガルド・ゴーグ。
果たして宝珠を狙うガルドの目的とは?
ようやくルレル編が始まった感が否めないが、それは置いといて!
次回、乞うご期待!

〜ルレルの不思議な大冒険・最終話・前編〜

祭壇のような場所。一人の男と一人の女。そしてもう一人。性別は定かではない。

「……しかし私にどうこう出来る問題ではありません……
 そのことは貴方が一番わかっているはずですが?」

「お前にどうこう出来なくとも俺には関係ない……
 そういう時にどうにかするために与えられているのが俺の力だからな」

「原初に与えられた目的とは違うものになりますよ?
 今までに前例がないわけではありませんが……私が知る限りでは結果はどれも悲惨なものです……
 そもそも『彼』がどういった目的で我々にこういう能力を与えたかも定かではないのです。その『彼』が誰であるかも。
 それでも貴方はあえてその険しい道を歩むと?」

「そのつもりだしその覚悟もある。大体そのためにお前を助けてやったんだ。せっかくの剣も犠牲にしてまでな……」

「奥様にもその覚悟がおありで?」

「私はこの人と一緒になった時から決めていた事だから。今更どうこう言うつもりはないわ」

「そうですか……」

「そろそろ始める。準備はいいな?」

「いつでもどうぞ」

「じゃあ、あいつには目一杯苦労してもらうとしよう……最初の犠牲としてな……」

男の微かな笑い声。楽しそうな顔。

―――――――――――――――――――――――――

夜。漆黒(くろ)きの羽が舞い散る中。

「泣かないで……最期なのに……君のそんな顔、見たく、ないよ…………」

「ごめんな……本当にごめんな……俺が守るって言ったのに……死んでも守るって決めたのに……」

「悪いのは、君じゃないから…………君は悪くないから…………」

「力の至らなかった、俺が悪いんだ……もっと俺に力があれば……」

「私は、君にいろんなものを貰った……だから……私が…………君の………………糧に………………なる………………………………」

「『   』いいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーー!!!!」

そして彼女の存在は消える。

―――――――――――――――――――――――――

「これからようやく始まる……俺が生まれた時から始まったものを終わらせる儀式が……」

〜中編に続く〜

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更新頻度が落ちることもあります。